bB(QNC25)エアコンが効かない
エアコン不良ですが少し変わった症状と結果でした。
車両情報
メーカー:トヨタ 車種:bB 型式:QNC25
年式:平成23年 総走行距離:18万km
【状況】
■エアコンガスが漏れている。(ガソリンスタンドでガスは入れてもらったがもう効いていない。ガスが漏れていると言われた。)
■ガス点検用のマニホールドゲージで確認すると、ガスは空の状態。
■ガスを補充するとコンプレッサーは問題なく回転する。
■エアコンをオンにするとラジエータファン及びコンデンサファンは問題なく回転する。
■ガスを補充すると冷えてくる。
漏れ点検の下準備
ガスを補充すると冷えるようになるので、冷媒装置の異常は無いと判断して、ガス漏れの点検に入ります。
ガスの漏れは冷媒漏れ検知器を使用して確認することが出来ますが、精度が低くて漏れている時にしか確認できないので、個人的にお勧めできません。やはり蛍光剤での確認が最適かと思います。
まずはエアコンガス1本と蛍光剤を1本入れましたが、どこを見ても漏れていません。しばらく様子を見ていてもエアコンは効いているようです。
ガス点検用のマニホールドゲージを見張っていても、漏れている気配はないのでしばらく乗っていただくことになりました。
予想外の速さ
翌日、「朝一番でエンジンをかけたときに、プシューって漏れた音がしました。」と連絡がありました。
『漏れた音がした』と言われたので驚きました。前日はしばらく見張っていても、何の変化もなく普通にエアコンが効いていましたが、じわじわ漏れるのではなく一瞬で漏れるのは珍しいです。
漏れの確認
ガス漏れ点検用の蛍光剤はUVライトに反応するので、当たりをつけた場所からUVライトで照らしていきます。
トヨタ車のエアコンガス漏れと言えば、クーラーコンデンサの下側からの漏れがほとんどなので、照らしてみましたが漏れはありませんでした。
当てが外れて他を当たってみると、クーラーパイプから漏れている箇所がありました。
コンプレッサーの上部(クーラー低圧パイプの接続部)がエメラルドグリーンに光っています。
クーラー低圧パイプのオーリングが劣化しているのか、パイプそのものが損傷しているのか特定していきます。
状態から推測
オイルでも水でも漏れがある時は上から順番に疑っていくのが鉄則なので、上から確認していきます。
最上部のパイプ根元に蛍光剤が溜まっているのが見えます。下から噴き出して上に溜まるとは考えにくいので、ここを点検します。
点検方法は単純なもので、
①蛍光剤を清掃して綺麗にする
②ガスを少し入れる
③ホースやパイプに少し負荷をかけて確認する
の手順で確認します。
損傷個所の特定と修理(交換)
画像を撮り忘れていたのでお話だけになりますが、やはりパイプ最上部の付け根からでした。少し暖めると漏れなくなりますが、パーツクリーナーで急速に冷やすと蛍光剤入りのガスが噴き出してきました。
クーラー低圧パイプの交換をして、同じように点検すると漏れはなくなりましたので、修理完了です。
診断後に聞いた話ですが「1年ほど前にディーラーでコンプレッサーを交換したのでコンプレッサーの可能性は低いと思っていました。」との事でした。
診断のポイント
再入庫時も、最初はホースに力を加えても漏れてきませんでしたが、低圧パイプが冷え始めてから漏れてきました。最初に見つけられなかった理由と、漏れてくる時の条件がこれで分かりました。
その条件とは
①エンジンルーム全体が冷えていること
②エアコンをオンにしてパイプ内が加圧されること
③エアコンをオンにしてパイプが冷やされること
この3つの条件が重なったときに下図のような状態になり漏れてきます。
ホースが暖まってしまうとゴムの膨張によりガスが漏れなくなります。最初のガスと蛍光剤を補充した時は、自走してエンジンルームが暖まったところにガス補充していますのでその時は漏れにくく、翌朝にエンジンルームが冷めた状態でエアコンをオンにしてパイプ内を加圧したため、条件がそろって漏れだしたのだと思われます。