修理事例④キャンター配線修理

キャンター(FBA30)エンジンがかからない

三菱のダンプ車(FBA30キャンター)で、エンジンがかからなくなってしまったと言う事で、レッカーされての入庫です。セルモーターは回るので、バッテリー、セルモーターは問題ないかと思われます。数時間経過後、エンジンがかかってしまいました。整備工場あるあるですが、こうなると「症状を出す」作業から入る必要があるので時間がかかりそうな予感です。


車両情報

メーカー:三菱  車種:キャンター  年式:平成24年
【状況】
■エンジンがかからない(直前までは普通に乗っていたが、突然かからなくなった)
■セルモーターは強く回る音がする
■バッテリーは上がっていない
■現在はエンジンがかかっている
■エンジンがかかってしまえば、不調などの異常は無い


まずは症状の再現

エンジンがかかるようになってしまったので、症状を出すために目星をつけて触れていきます。

経験上、「エンジンがかからないけど、エンジンがかかってしえば調子は良い」は、電子部品の接触不良やモーター類の作動不良の可能性が高いです。

この車両はディーゼル車なので、スパークプラグはついていません。グロープラグはついていますが、グロープラグが不良の場合はエンジン始動後、少しの間エンジン不調になります。

セルモーター(スターター)は、エンジン始動不良時も回るのでバッテリーとセルモーターはスルーします。そうすると消去法で燃料系統になるかと思い、まずは燃料ポンプの付近から攻めていきます。

あ・・・

何気なく外した燃料ポンプのカプラーが焼けていました。ピンの右には緑青が発生しています。カプラーを接続して、少し配線を触るとエンジンがかからなくなりました。また少し配線を触るとエンジンがかかるようになりました。ここで決まりです。今回は運よく脳の消耗が少なくて助かりました。

燃料ポンプはカプラー部分だけでの修理が出来ないので、ポンプごと交換です。

おそらく水が入り込んで起きた不具合なので、カプラー部分は水が侵入しにくいように加工しておけば、再発防止になります。

水は天敵

当然の事ですが、電子部品にとって水は天敵です。東北地方では冬になると融雪剤の混ざった水をまき上げて走行するので、あちこち錆や腐食が進みます。配線がむき出しになったトラックは電子部品の防水処理をしっかりしておかないと不具合が発生しやすいですね。

電子部品の修理、加工、取り付けをする際はしっかり防水処理を施しましょう。